改正・基本法下の協同組合の役割
―DDKの歴史と伝統を想起しつつ―

  顧問  河野 先       
     (株)第一経理 会長
     全国中小企業家同友会全国協議会幹事長

 


 当組合は1963年、中小企業基本法制定と同じ年に設立されたが、任意団体の前史を含めると、実に45年経過する。
 戦後日本経済発展途上で、中卒生は「金の卵」といわれた時代に「共同求人」事業を1960年から13年間取り組み、1967年から職業訓練所を開設。後に高等職業訓練校として技能教育を行った輝かしい歴史のある協同組合だ。
 昨年、中小企業基本法は、基本理念を「諸格差是正」から「独立した中小企業の多様で活力ある成長発展」に、政策体系は「生産性の向上」から「自ら頑張る企業の支援」に改正し、資本金、従業員数の定義を改定した。
 改正基本法の基本理念(第3条)に国の責務(第4条)、基本方針(第5条)に地方公共団体の責務(第6条)をうたい、施策を実施するため必要な法制上、財政上及び金融上の措置を講ずるとしている。しかし予算、地方分権を含め、遅々として具体化していないのが現状だ。
 基本法改正にあたって、従来の政策の総括がなかったように、今年の「中小企業白書」は「IT革命・資金戦略・創造環境」を副題とし、諸矛盾の現実に頬かぶりしている。中小企業の動向にふれてはいるが、新たな「役割」を述べ、施策を紹介するという補完的なものにとどまっている。
 戦後の日本経済発展の下支えとして重要な役割を担ってきた既存企業への積極的な支援と取引の適正化による公正な競争、地域経済の活性化と景気回復をバックアップする金融システムと税制が今こそ求められている。
 中小企業の景況の好転なしに日本経済の本格的回復はありえない。今や経営課題は政策要求と一体化していると言っても過言でない。
 国民経済の担い手として、本業を柱とした強靭な事業再構築と、様々な仕事づくりのため、ネットワーク、コーディネイトの役割が、ますます大切になったと思う次第だ。