改正労働基準法のあらまし
 
労働者の多様な働き方の選択可能性を拡大し、働き方に応じた適正な労働条件の確保とトラブルの防止・解決に資することを目的として、昨年7月に労働基準法が改正されました。1月1日から施行される主な改正点をお知らせします。
今月の相談員
社会保険労務士 栗原淑江
 
1. 有期労働契約について
 労働契約に期間の定めをする場合は、その上限が原則3年となりました(改正前は1年)。例外として、一定の専門的知識・技術・経験をもつ労働者(厚生労働大臣が定める基準による)や、満60歳以上の高齢者を雇い入れる場合は、5年(同3年)が上限です。 有期労働契約を締結する事業主には、次の点が義務づけられますのでご留意を。
@ 締結時に労働者に対し、契約の更新の有無を明示すること。更新ありと明示した場合は、更新する場合・しない場合の判断基準を明示すること。
A 締結時に更新する旨明示していた契約を更新しない場合は、少なくとも、契約期間満了の30日前までに雇止めを予告すること。
B 労働者が請求したときには、雇止めの理由についての証明書を交付すること。

2. 解雇について

 「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効」と法律上明記されました(労基法18条の2)。
 事業主は、@解雇の予告をした日以降、労働者が請求した場合は、解雇の理由についての証明書を発行すること。
A就業規則の「退職に関する事項」の中に、「解雇の事由」を記載すること。
B労働契約を結ぶ際には、「解雇の事由」についても書面で明示すること。が必要です。

3. 裁量労働制について
@専門業務型裁量労働制の導入にあたり労使協定で定めるべき事項に、労働者の健康・福祉確保の措置、苦情処理措置を追加。
A企画業務型裁量労働制についての条件を緩和。本社に限らず、事業運営に関する企画、立案、調査及び分析の業務に従事するホワイトカラーにまで拡大されます。

 お問い合わせは
栗原へ。就業規則の見直し・変更などのご相談もうけたまわります。