確定申告の時期もあって、年金課税をめぐり新聞の読者間で以下の論争がありました。〔注〕
@年金収入250万円の73歳男性は“公的年金控除の縮小と老年者控除の廃止で、今年から税金がかかり始めた。なのに負担は増える。”と怒りの声をあげました。
Aこれに対し、39歳の女性税理士は“年金は給与所得に比べ優遇されている。250万円の収入があるのに税金ゼロという考え方が間違っている。増税分は公のサービスの一部と考えるべき”とバッサリ切って捨てました。
B上の反論に「がくぜん」とした71歳の男性は、“大方の年金生活者は年金をやりくりし、子や孫や社会に迷惑をかけまいと必死に生きている。医療や介護の費用が増える年金生活者と給与所得者を単純比較計算で目くじらをたてるより制度後退に歯止めを”と諭しました。
C以上のやりとりをみて69歳の男性は“公的年金控除を縮小し老年者控除を廃止したとき、高齢者は現役より優遇されているから、と言った政府が今度は、給与所得控除の大幅縮小を言い始めた。足の引張り合いはやめた方がよい。所得税の最高税率の低さや株式売却益の分離課税などの不公平こそ問題にすべき”とまとめました。同感です。
感じたことを述べます。 それは、分断と対立でなく、連帯と共同を、ということです。高齢者と現役に限らず、公務員と民間労働者、労働者と自営業者、専業主婦と働く女性など意図的に対立が煽られています。「分断して支配」するのは古今東西、支配の常套手段です。この術策におちいっては暮らしは守れません。寒々とした世の中になるだけです。
なお釈迦に説法とは思いますが、さきの女性税理士にひと言。控除額の大小だけでなく、生計費非課税、応能負担の原則、さらには憲法(13条
個人の尊重、25条 生存権)に考えをめぐらして欲しかった。
〔注〕朝日新聞「声」欄
@2/12「老人いじめの内閣は退陣を」
A2/16「年金からの税金 当然の負担だ」
B2/21「年金生活者の実態見つめて」
C3/4「老いも若きもともに被害者」 |