経営再建の途上で保証協会が代弁してしまったが・・・
 
事業建て直しにやっと見通しがついたと思ったら、銀行が信用保証協会へ代位弁済を請求して、借入金は協会へ移されてしまいました。私の経営再建の希望を保証協会は考慮してくれるでしょうか。
今月の相談員
国民生活金融公庫出身 田口良一
 
@保証協会は、銀行との間では、中小企業(債務者)のための連帯保証人という立場です。銀行は、債務者が経営破綻状態にあり、そのうえ返済がひどく遅れていることを保証協会に文書でくり返し主張し、この銀行の主張を保証協会も了承して代位弁済に応じたものです。しかし、銀行の主張が必ずしも真実を表していないことを保証協会も知っています(だから事前に債務者を調査する)。
 A他方、保証協会は信用格付情報センターとして銀行によって利用されています。ですから保証協会によって「(実質)破綻先」と格付け(レッテル貼り)されたままでは、経営建て直し計画にとって、将来とも障害を生じかねません。保証協会の誤解を解く必要があります。なお、別会社による事業承継方式の場合は別の選択となりますが、それは別のテーマです。
 B借金を返済しながら経営を再建することは、企業格付を「(実質)破綻先」から「正常先」に卒業(格上げ)することです。ですから保証協会と交渉する中味の中心は「再建計画」と、銀行側から伝えられた誤った情報の是正でなければなりません。
 C保証協会は自分の債権(求償権)について返済・整理計画(担保物件処分など)を熱心に求めます。しかし、保証協会の借金だけをいくら整理しても経営再建計画とは別です。協会に丁寧に説明しながら、返済計画や経常運転資金計画を含む経営再建計画を認めさせる必要があります。
 このとき忘れてはならないこととして、返済計画には公租公課をはじめ全ての負債を含めることです。そして、決断を以って説明すれば卒業へのコース(保証協会再利用の条件整備)も必ず開けます。