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企業の社会的責任が、厳しく問われている。昨年来のJR西日本の大事故、耐震偽装、ライブドアの証券取引法違反、「東横イン」の無断改装と枚挙にいとまがない。
これらは、法改正等も含めた一連の規制緩和政策によるものだ。
今国会の論戦でも民主党は「小泉改革」の「光と影」と批判し、公明党も、構造改革を肯定しながらも「二極化」「格差の拡大」を口にしている。
公務員削減で減らした仕事を民に移しても常用を派遣等の非正規雇用に置きかえることで、低所得の労働者が大量に生み出される。一体日本はどうなるのか。
結局のところ、格差社会と貧困がすすみ、夢も希望もない弱肉強食社会が出現する。
先進国での経験が、プラスの面だけ強調され、規制緩和論が補強され、現在も進行中である。
私たち国民にも、行政の手にゆだねられてきた諸権限が、規制緩和により、「民間」に開放されるとの錯覚があった。
しかし、現実は大企業中心の民営化だったことが明らかになってきた。 本来、公正で自由な市場社会が成り立つための前提として、守るべきルールがきちんと明示され、違反を監視する中立的機関が必要だ。
規制緩和の影響を受ける直接の利害当事者は、今こそ声をあげ、国民にとっての真の規制緩和と公正な競争を保障する監視機関を提起し、国民運動にすることが必要だ。中小企業を中核にすえる「中小企業憲章」制定運動もその一つだろう。
日本をダメにすると予知した「経済学は誰のためにあるか」(内橋克人編 岩波書店1997年刊)を、改めてひもといてみた。

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