労災保険未手続事業主に
ペナルティ強化
 
平成17年11月1日から労災保険未加入の事業主に対する費用徴収制度が強化されたと聞きましたが、どんな内容でしょうか。
今月の相談員
社会保険労務士 栗原淑江
 
労働者を使用するすべての事業は、強制的に労災保険の適用事業とされています。会社を設立し労働者を使用すると、手続きのいかんを問わず、法律上保険関係が成立し、事業主は成立日の翌日から10日以内に「労働保険関係成立届」を監督署に提出することになっています。
 仮にこの手続きをしないうちに労災事故が生じた場合、労働者は療養補償や休業補償などの労災給付を受けることができますが、事業主は、@遡って成立届を提出し、Aその間の保険料(最大2年分)を納付、さらにB給付額の一部を徴収されることになっています。
 約54万件と推定される未手続事業主が社会問題化し、保険手続きを促進するためにこの費用徴収制度が見直され、昨年11月から未手続事業主への費用徴収のペナルティが強化されました。
 その要点は次のとおりです。
1)保険関係成立届の提出について行政機関からの指導等を受けた事業主であって、なおその提出をしていない場合は、「故意」と認定され、原則、保険給付に要した額の100%を徴収されます。
2)行政機関等の指導を受けたことがなくても、保険関係成立日から1年経ってなお手続きをしていない場合は、「重大な過失」と認定され、保険給付額の40%を徴収されます。
 
 労働保険(労災保険・雇用保険)への加入は、労働者を使用する事業主の最低の責任です。まだ、届出をされていない事業主はすみやかに手続きを。その場合、DDKのような労働保険事務組合をご利用になると便利です。